送信バーが少し回ったあと、メールが戻ってくる。ファイルが大きすぎる、と。たいていはスキャンです。署名済みの契約書6ページが、なぜか38MB。
直すのに1分もかかりません。ファイルの正しい部分に手を入れさえすれば。
スキャンPDFが重い理由
PDFは入れ物で、重さを決めるのは中身です。
- スキャンや撮影でできたPDFは、画像の束です。 1ページがフルサイズの写真1枚。文字として持てば200KBで済む10ページが、文字の写真になると平気で40MBになります。
- 書類から書き出したPDFは、ほぼ文字です。 フォントと文字だけなので、長い書類でも数百KB。
ここに30秒使う価値があります。圧縮する意味があるかどうかがここで決まるからです。スキャナー、コピー機、カメラから来たファイルなら絞れる余地は大きく、サイズは目に見えて落ちます。PagesやWordから書き出したファイルなら重いものは入っておらず、どんな圧縮ツールでも大差は出ません。その場合はそもそも圧縮しなくていい場合へ。
iPhone・iPad・MacでPDFを圧縮する
PDF Combinerでの手順です。3つの端末で同じ操作で、処理はすべて端末の中で行われます。
- 1
「PDF を圧縮」を開いて書類を追加する
「ファイル」、iCloud Drive、または端末からファイルを選びます。Macではメイン画面のタイル名が**「圧縮」で、「PDFの圧縮」**というウインドウが開きます。元のファイルはそのまま残り、小さくなったコピーが別に作られます。
- 2
「品質」を選ぶ
選べるのは**「高品質」「中品質」「低品質」**の3段階です。これは残す品質であって圧縮の強さではありません。「高品質」はディテールを最も残し、サイズの減りは最も小さくなります。「低品質」がいちばん強く圧縮します。
ふつうの印刷ページのスキャンなら**「中品質」から。細かい文字、印影、手書きの署名、写真が入っているページ — つまり相手がじっくり見ることになるものが写っている場合は「高品質」**にしてください。
- 3
生成して、別の名前で保存する
keiyakusho-small.pdfのように、1週間後に元ファイルと見分けがつく名前にしておきます。 - 4
送る前に確かめる
小さくなったコピーを開き、いちばん情報量の多いページのいちばん小さい文字を拡大します。それが読めるなら書類全体も問題ありません。まだ大きい場合は、いきなり「低品質」に飛ばず、1段階だけ下げてください。
一回きりの書き出しでは片づかないことが2つあります。まとめて処理できるので、書類ごとに同じ操作を繰り返す必要がありません。そして複数のファイルを結合するとき — 書類が大きくなりすぎる典型的な流れです — 結合してそのまま結果を圧縮するところまで一度に済みます。
そしてどれも端末の外に出ません。アップロードなし、アカウント登録なし、接続も不要で、機内モードでも動きます。ウェブの圧縮サービスは逆で、ファイルは他人のサーバーに送られ、そこで処理され、結果を返すあいだは少なくとも保管されます。旅行の行程表ならどうということはありません。契約書、検査結果、パスポートのスキャンなら、なんとなくではなく意識して決めたいところです。
どこまで小さくすればいいか
多くのメールサービスは1通あたり20〜25MB前後で止まり、それより厳しいところもあります。ぴったりではなく余裕を持って狙ってください。メールが運ぶのは添付だけではないので、上限ちょうどのファイルこそ跳ね返されます。
標準機能でできること・できないこと
MacもiPhoneも、単体でPDFを小さくできます。どこまでできるかを知っておくと役に立ちます。
Macでは、PDFを**「プレビュー」で開き、「ファイル」→「書き出す…」を選んで、「Quartzフィルタ」のポップアップメニューから「ファイルサイズを減らす」を選びます。同じウインドウには「画面に合わせて画像を最適化」と「JPEGとして画像を保存」**のチェックボックスもあります。スキャンは実際に小さくなりますが、フィルタ自体は品質の調整ができない固定処理です。小さい文字が灰色でぼやけることがあり、やり直す以外の手はありません。元ファイルを残すため、新しいファイルとして書き出してください。
iPhoneとiPadでは、iOS 26で「プレビュー」アプリが登場しました。ファイル名の横の**⌄をタップして「書き出す」**を選びます。ただしこのシートは画像向けに作られているので、よく見てください。
- フォーマットの初期値はHEICです。そのままにすると書類ではなく画像ができ、スキャンの場合は元のPDFより大きくなることすらあります。1.4MBのスキャンで「予想ファイルサイズ」はHEICのとき2.2MBと表示されました。フォーマットをPDFに切り替えてください。
- PDFを選んだ瞬間、**「サイズ」のスライダは消えます。代わりに出てくるのが「JPEGとして画像を保存」「画面に合わせて画像を最適化」と「解像度」**の項目で、スキャンを実際に軽くするのはこれらです。
- 目標サイズは指定できず、結果も事前には表示されません。書き出して確かめるしかありません。
そしていちばんよく勧められている方法が、まさに効かない方法です。 **「ファイル」でファイルを長押しすると「圧縮」**が出てきます。これは.zipを作るもので、PDFにはほぼ無意味です。中の画像はすでに圧縮済みで、圧縮済みのものを圧縮しても得るものはありません。結果は実質同じサイズのファイルで、相手に解凍の手間が増えるだけです。使わなくて構いません。
そもそも圧縮しなくていい場合
大きすぎるPDFが、いつも圧縮の問題とはかぎりません。
- 必要なページだけ送る。 60ページのレポートのうち相手が必要なのが4〜7ページなら、**「PDF を分割」と「ページを抽出」**のほうが、どんな圧縮より小さく、しかも親切なファイルになります。この一覧でいちばん過小評価されている解決策です。
- PDFを作る前に写真を小さくする。 これからカメラで撮った写真をまとめて1つの書類にするなら、先に画像をリサイズしておくのがいちばん効きます。(**「写真を圧縮・リサイズ」は画像を、「PDF を圧縮」**は出来上がった書類を扱います。別の作業です。)
- 撮影ではなくスキャンする。 **「ドキュメントをスキャン」**はページの端を検出してそこで切り取るので、机も自分の手もテーブルクロスもフル解像度でファイルに抱え込まずに済みます。
- ファイルではなくリンクを送る。 「メール」アプリでiCloudアカウントを使っていれば、大きすぎる添付にはMail Dropが提案されます。最大5GBのメッセージで、受け取った側は30日以内にダウンロードできます。またはiCloud Driveに置いて「ファイル」からリンクを共有します。どちらも書類の画質には一切手を触れません。スキャンが読めるままでなければ困る場合の正解です。
同じような手順の記事はPDF Combinerのガイドにまとめてあります。